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    競馬ジャンキーの詩

    私は薬剤師だ。

    普通に勤めれば、慎ましく生活できるだけの年収は生涯稼げる。

    でも、競馬ジャンキー(中毒患者)には、それが許されない。

    10年前までの私は、まさに競馬廃人。

    毎週競馬新聞とハズレ馬券を握りしめて、暗然と佇む自分がそこにいた。

    ある日、馬券が全く買えなくなった。

    金の問題ではない。

    何を買っても当たる気がしなくなった。

    暗闇の中で馬々達の眼がパチパチと瞬いていた。

    彼らは不気味に笑いながら、こう呟く。

    「お前の買った馬券なんて、当たらねえよ。」

    もう何もかも信じられなくなっていた男は、最後の力を振り絞って、地の底から血の滲む思いをして、ある理論を確立した。

    儲かる馬だけを掛け合わせる“単勝期待値理論”

    そして僅かに残ったお金で、オッズマスターズグランプリに参戦。

    9万人中3位になった。

    ドラマチック

    社会から隔絶された場所で、当初は一人でこの理論を駆使して荒稼ぎしていた。

    私も医療人の端くれ。そんな自分がだんだん小さく見えてきた。

    この世に生を受けた以上、社会には貢献しなくては。

    私は最初で最後の作品を作った。

    それが“美浦ドリーム”だ。

    馬券は心理学。

    オッズは人の欲望でしかない。

    的中率という魔物に取り付かれた時から、マイナス地獄が始まる。

    的中率の呪縛から逃れた私は生まれ変わった。

    的中率なんて、どうでもいい。

    イノベーション(新しい発想)

    人気馬同士の決着は、撒き餌だと気付いた。

    99%の負け組がいないと、我々のような1%の勝ち組が発生しない。

    自分の持つあらゆるものを駆使して壁を乗り越える。

    夢をあきらめる訳にはいかない。

    馬柱は数字の集合体。

    競馬は明らかに、心理学と同時に数学でもある。

    馬が数字に見えてきてから、快進撃が開始された。

    私は、競馬新聞は買わない。

    何も頼りにはしていない。

    あらゆる情報に接しない。

    信じられるのは自分の眼と数字だけ。

    そして自分に勝つ強い心。

    競馬廃人が、馬券魔術師に変化した。

    どん底から人間は進化する。

    生きるためにこの道で戦う。

    過去の全てを見返してやる。

    自分の人生にリベンジする。(このくだりは最上もが

    JRAに仕返しはまだ済んでいない。

    生涯自慢できる馬券を理詰めで当てた。

    自分で自分を褒めてあげたい。

    帯封獲得者も続出。

    これだけ当たれば、もう、負けない。

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    重ねて言おう。

    「こんな馬買えるか!」もしあなたがそう思ったら、その時こそ勝負だ。

    この的中を見逃すという悲劇を繰り返してはイケナイ。

    悔やんでも後の祭り、失ってから気付いたのでは遅い

    私には、自信がある。皆を桃源郷に連れて行く。

    今一度と呼び迎えるに値する競馬人生。

    生まれ変わっても、また今の自分に生まれて同じ馬券を買いたい。

    私は、情熱を持たない人にまで、感動を与えることは出来ない。

    勝つための手を惜しんで、どうする。

    灰色だったオケラ街道が、鮮やかに見えてくる日が、きっと来る。

    さあ、皆で這い上がろう。

    我々だけで、また10万馬券でも、ちょいと当てに行こうか。

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